近所の統合失調症の人、結婚していた
近所に、背の高い筋骨たくましい統合失調症の人がいる。
オーラですぐに統合失調症の人とわかる。断っておくが、僕は統合失調症の友人がいるし、別に差別や偏見はない方だと思う。
家政婦を雇っていると思っていたが、どうにも結婚している
その近所の人は家政婦を雇っているだけだと思っていたが、結婚されているようである。45歳くらいだろうか。強迫性障害と統合失調症を合わせたような人である。でも、結婚している。同世代と思われる女性と一緒に買い物をしていた。僕は家政婦システムをよく知らないが、一緒に仲睦まじく買い物をすることはないだろう。彼は結婚していたのだ。僕は冷静を装って近くの商品を買い物かごに入れ、二人とすれ違ったが、本当にむなしかった。
それなんてエロゲ
彼はおそらく障害者雇用か、作業所の人だと思う。僕と同じ独り者であろうと考えていた。でも、嫁がいた。買い物の様子を見ると気立ての良さそうな女性であった。
(あ、彼は童貞ではないのか)
高齢童貞仲間だとばかり思っていたが、違うようである。
また彼は毎日何かにとりつかれたように体を鍛えているが、その理由がわかった。
女性に好かれれば男は力がみなぎる。全ステータス5倍くらいのバフがかかる。彼にはバフがかかっていたのだ。僕は一度もバフにかかることなく30代を終えようとしているが、彼には強力なバフがあったのだ。
こちらが抗うつ剤とか摂取している間、彼は愛を摂取していたのだ。政府に仕事を与えられ、財を与えられ、女性から愛を与えられている。「ちょうど良い障害」だったのだろう。たいした幻覚幻聴もなく、障害者認定されて、就職も決まったのだろう。そして女性と結婚したのだろう。
(それなんてエロゲ)
僕は、遠い目をして近所の彼をねたんだ。氷河期世代であろう彼は、与えられるものを十分に与えられて小さな幸せをつかんで生きていた。
ギリ健の僕、ちょっと泣く
僕は相変わらず人生を迷っている。もちろん一人身だし童貞である。世間では梅毒が騒がれているようだが、まったく縁の無い話である。現在は貯金を切り崩して極貧生活をしている。「耐えることこそ人生」と己を奮い立たせて生きているが、たまに崩れる。書類選考に定期落ちし、部屋の定期掃除をしているとき、ちょっと泣いた。
僕は地頭が悪く根本的に馬鹿なのに独学で国立大学を合格するまで努力して大学院まで出たのに、就活で人生が崩落した。ギリギリ健常者、軽度のASD、アスペルガーグレーゾーン。こんな僕が、国立大学(院)の合格ごときで、世界一コミュ力を求める日本の就活を乗り越えられるわけがなかった。三十代、ついに正社員になることがなかった。
もちろん、愛されたこともないし、付き合ったこともない。後輩など周りは結婚したし、正社員になったが、僕は孤独のまま、さらに孤独を感じている。
しかし地元から逃げるように引っ越した先に統合失調症の幸せ者がいると思わなかった。スーパーには人がいない時間帯に行くことにしよう。